医局/土居大介

 時間は誰にとっても平等に過ぎます。1秒、1分、1年は365 日、誰にとっても同じです。しかしその時間の過ごし方は、個人に委ねられています。そして、限られています。その限られた時間をどう過ごすのか、なかなか難しいですね。常に何か行動する、何かを考える、など活動していれば時間を“有効”に使っている言える? 睡眠の時間、ぼーっとして何もしない時間は時間を“無駄”にしている? そうとも限りません。無駄だ、足踏みをしている、と思うような時間でも意味はあるんじゃないか、日常の何気ない時間の過ごし方にも意味はあるんじゃないか、と思います。

 僕は「時間を無駄にした」と考えることは好きではないし、無駄に思える時間にも意味はあるとポジティブに考えるようにしています。ラグビーの五郎丸選手が脚光を浴びた頃、“ルーチン”という言葉が流行りましたね。直訳すると“きまりきった手順”とか“一連の動作”という意味です。“精神統一の儀式”という意味もあるそうです。つまり、決まった動作を通して平常心、集中力を高めるということのようです。

 イチローがバッターボックスに立つ時にバットを回す、あの動作もルーチンです。僕は大リーグの舞台で、ここぞの集中力を発揮するわけではありませんが、ルーチンがあれば、毎日を気持ちをリセットして平常心で迎えられるでしょうか。そんなことを考えてみたら、ありました、僕のルーチン。それはコーヒーです。僕は必ず、毎朝コーヒーを淹れます。冷蔵庫から豆を取り出し、一人分を計量。豆をミルで挽いている間にお湯を沸かします。紙製のフィルターに挽いた豆を移し、お湯を優しく500 円玉を描くように回しかけると、ふわっと部屋に広がるコーヒーの香り。まさに至福の時間です。その時間はたった5分。しかし、このたった5分が心に余裕を生み、リラックスさせます。

 ちなみに日本にコーヒーが伝わったのは江戸時代、オランダ人からと言われています。明治時代になると喫茶店ができ、大衆にも広まるようになったそうです。僕らは夏になるとアイスコーヒーを好んで飲みますが、実は日本発祥。海外にはコーヒーを冷やして飲むという習慣なかったそうですよ。話は逸れましたが、日常のなんでもない時間にも意味はあります。皆さんには“ルーチン”ありますか?



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