薬局/中城由紀

 昨年12月に一緒に暮らしている兄夫婦に待望の第一子が無事生まれました。色の白い可愛い女の子でした。世界中がコロナに包まれ心苦しい毎日に、パッと光が差し込んだような出来事でした。生まれたばかりは面会も禁止でやっとの思いで会えたのは1週間後、退院してお家に帰ってこれた日でした。

 初めて顔を直接見たときは、ぐっと目頭が熱くなりました。初めてかけた言葉は「こんにちは」だったような気がします。そんな日から1か月半ほどが過ぎましたが、学ぶことや想うことがたくさんありました。いつもはスヤスヤと本当に静かに寝ていて、大丈夫かな?! と心配になることもありましたが、ピギャー! と泣き出すと体全身から声が出てるんじゃないかと、思わず笑ってしまいました。初めてお風呂に入った日は、私も母もなんだかソワソワしました。

 なかなか泣き止まない赤ちゃん。「こんな時はミルクじゃなくて、白湯がえいよ」とアドバイスをする母が何だかヒーローに見えました。孫を抱くおばあちゃんになった母を見ていると、自分がどれだけ大切に育ててもらっていたかを痛感しました。優しそうに赤ちゃんを見つめる義姉や、仕事が終わって半分寝ながらでも赤ちゃんを抱きしめている兄を見ていると、人は皆勝手に大きくなった訳じゃなく誰かの温かい手で育ててもらったから今があると、大きくなった自分の手とまだ小さな小さな赤ちゃんの手を見比べて、そう思いました。

 皆様のご家族や身の回りに赤ちゃんがいる方は、今本当に慎重になっているかと思います。妊婦さんや最近赤ちゃんが生まれた方が抱えている心配やストレスは深刻です。そんな方々の為のサポートセンターや相談室が、市で設けられていることをテレビで見かけました。コロナウィルスが世界中に広まって私自身も考え方が変わりました。日本中からマスクがなくなったり、不要不急の外出は禁止、飲食店の時短要請。たくさんの情報に考えを右に左に流されたこともありました。今まで出来ていたことや、いつもだったら会えていた友人や家族にも会うことすらも、もう当たり前ではありません。私の友人も楽しみにしていた結婚式が無くなり本当に落ち込んでいました。

 誰のせいでもなく、“今はしょうがない”の一言で我慢しなくてはならないこともたくさん増えました。あとどのくらいで今までの日常が戻ってくるかは誰にもわかりません。今できることや、日本中、世界中の人々がひとつになって頑張るときではないか思っています。ただ、このような毎日でも何かできること、以前の日常とは変わったからこそ気付ける事があると思います。私も毎日小さな幸せを当たり前じゃないと思うようにしています。

 小さな力でも皆で頑張れば大きな力になると思います。しばらくは変わらない日常ですが皆様も過ぎていく毎日に、当たり前ではない幸せを探してみてください。


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