プラタナスの風(ブログ)
「ま」

薬局/長田由紀
小さな口からこぼれた「ま」の音。それだけで世界がふわりとひらいた気がしました。それは、我が子が発した、はじめてのことば。
「おはよう」「ごはんだよ」「おやすみ」何度も、何度も、話しかけました。返事がないのを知っていて、それでも毎日、言葉を贈り続けた日々。まるで小さな手紙を、瓶に入れて海に流すように、届くかどうかわからないけれどきっと受け取ってくれると、信じていました。
そしてある日、ぽつんとこぼれた一音。「ま」という声は偶然だったのかもしれない。意味があったのかも分からないけれど、胸の奥が温かくなって涙がこぼれました。たったひとつの音に、これまでの日々がそっと重なって見えました。それは「聞いてくれていたんだ」と思わせてくれる、小さな返事でした。
ことばって、不思議です。うまく伝わらなくても、意味が通じなくても、それでも「伝えよう」とする気持ちには、何かがちゃんと宿っています。
そんな経験を通して、ふと思います。たとえば、気持ちを言葉にすることが難しい方や、伝えることに時間がかかる方との対話も、似たようなところがあるのかもしれません。
すぐに返事が返ってこなかったり、言葉が途切れがちだったり、ときには沈黙が続くこともある。けれど、その静けさの中にも、「聞いてほしい」「つながりたい」という思いが静かに息づいていることがあります。
ことばが通じにくいとき、沈黙が長く続くとき、あるいはうまく言葉にならないとき。私たちはその「奥にあるもの」に、どう耳を傾ければいいのでしょうか?
伝えることばかりに目を向けるのではなく、伝わらない時間ごと、まるごと受け取る。そんな姿勢が、会話のはじまりになるのかもしれません。
沈黙にも感情があり、言葉にならない想いがあります。だからこそ私たちは「聞く」という行為を、ただの受け取りではなく「寄り添うこと」として捉えていくことが大切だと思います。
赤ちゃんの「ま」の音が、世界とつながる最初の扉だったように、誰かの沈黙やたどたどしい声もまた、心が開かれる瞬間かもしれません。
もし皆さんの中に、心に残っている「ことば」や「ことばにならなかった何か」があれば、ぜひ聞かせてください。それがまた、誰かの声にそっと寄り添う力になるかもしれません。
呟きですが・・・

4階病棟/西村祥子
ある日出勤すると突然プラタナスへの執筆依頼がありました。文章を書くことが苦手、これと言った趣味もエピソードもないので関心を持ち続けている内容を呟いてみます。
ここ数年、全国各地で自然災害に悩まされる世の中になっています。そして、30年以内に南海トラフ地震が発生する確率は80%程度と公表され、実際に起こった時、自分は何ができるのか…と考え続け約10年が経ちました。
10年前の私は、災害が起きた時に『さあ!今から災害看護へ切り替えて仕事です』と言われても災害看護に関する知識がありません。そこで、何もできないより動ける自分でありたいと思い様々な研修に参加することにしています。
研修で興味深いのは、被災病院のエピソードや被災時の連絡手段、医療従事者の体験談、トリアージの必要性、2次災害・3次災害などの対応と家族であるペットをどう考えるかです。
知ってますか? 災害時は援助が来てくれると期待を膨らませますが、四国は本州から離れ海・山・川に囲まれた場所、特に高知県は遠いため支援や救助が最後になるという事を。道路の寸断や連絡手段の遮断、支援物資も届かない状態でどれくらい心身ともに健康でいられるでしょう、不安になりますよね。
私は研修の学びから災害看護への知識は得ていますが…、私生活ではどうでしょう。十分に非常物品を揃えていなかったり、クローゼットに入れた状態ですぐに取り出せない、ペットの分は? と問題は山積みです。そんな中、やっと昨年は水を準備しました。今年はペットと一緒に災害を乗り切る方法を考えなければならないと思っています。
皆さんは災害時にどうするか考えていますか? いいアイデアがあれば教えて下さい。
こんな呟きを最後まで読んでいただきありがとうございます。
中国旅游記

総務部/大峯永愛
冬の晴れ渡る空を見上げると、ふと蘇る思い出があります。
23歳の冬、中国の友人の結婚式にお呼ばれした私は初めて海外を訪れることになりました。中国の瀋陽(しんよう)、親日派の多い大きな都市です。現地ではご実家に滞在させてもらうこととなり、2週間の有休を取っていざ飛び立ちました。
初の国際線、英語が通じない現地の空港、早くもスラれかける荷物たち。なんとか脱出できた私は友人一家に無事回収され、ご実家へと到着。
着くやいなや「さぁやるよ!」とお母様の声で突然の餃子作りスタート。茹で上がった水餃子は感動するほどぷりぷりもちもちで、豪勢な手料理と高級酒に舌鼓を打ちながら話に花を咲かせた初日の夜でした。
翌日、祖父母に叔父叔母、いとこはとこ…次々にご親族が現れて『皆でワイワイする』というイベントが発生。夫婦別姓なので『山田さんちの鈴木花子さん』みたいな紹介がややこしく、中国語に明るくない私はもう誰が誰だか状態に。ロボットのように「ニーハオ」と「シェイシェイ」のみで乗り切っていたのですが、どうやらこの間に私は「咪咪(ミーミー)」というあだ名をもらい、「もはや親族」の称号を得て、ボディーガードが付くことになったようでした。なぜ。
その日から、どこへ行くにも私の周辺四方には常にボディーガードが配置されました。四神です。シフト制のようで、ふと現れては入れ替わるたび「ありがとう…誰?」と不安になりましたが、ずっと青龍だった叔母とは仲良くなれました。
瀋陽は何を食べても美味しくて、屋台の羊肉串(焼き鳥の羊ver.)は毎日買いに行く程どハマり。またデパートでは値切るのが慣例だったため「多少銭(いくらですか)?」を習得して使いまくりましたが、返ってくる答えが毎回わからないので一度も値切れずに終わりました。
1週間が過ぎたころに『上海で挙式する』ことが判明し(言うの忘れてた!と友人)、驚きとともに私の瀋陽旅は突如終了。えぇ。さよなら瀋陽…。
上海で素敵な結婚式を終えた後は、連日街を散策しました。かの有名な夜景は噂に違わず美しかったし、レストランではどう食べるのか分からないサイズのカニなどと格闘しつつ、海の幸をたっぷり堪能。
最後はご両親の熱烈なハグで見送られ、私の中国VIP旅は幕を閉じました。
人の温かさや街の風景、美味しい匂いを思い出してはまた感動したりくすっと笑ったり、お腹が減ったり。
毎年、思い出に幸せを貰っている私です。
土佐病院ダンスクラブと 『3つの三角形』

デイケア/大井美紀
私は、デイケアプログラム「土佐病院ダンスクラブ」(金曜日午前)のスタッフであり、メンバーの一人でもあります。今日は、私が生涯追求したいと思っている社交ダンスについて熱く語りたい!! ところですが…、紙面の都合上、私の指針『3つの三角形』(社交ダンスを長く続けてゆく上で大切にしたいと考えたこと)についてお話ししたいと思います。このように書くとまるで熟練者のように聞こえますが、実は、全くの初心者です(汗)。
※以下、プログラムに参加されているみなさんを「メンバー」と呼ばせていただきます。
第1の三角形:「誠意・協調・進歩」
ご存知のとおり、土佐病院の基本理念です。私は、この3つが仕事や日常生活だけでなく、ダンスクラブの指針にもなると考えています。一緒に踊るメンバーを尊重し誠実であること、メンバーと私自身の技術の向上、そして、メンバーの意見を尊重し互いに協調しながら人生を豊かにするダンスを創ってゆく!
第2の三角形:マズローの欲求段階説(土佐病院ダンスクラブ版)
生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→承認欲求→自己実現欲求で構成されたマズローの欲求段階説(人間は自己実現に向かって絶えず成長する)を、ダンスクラブにあてはめてみました(学術的な根拠でなく、私の考えになりますが、とてもぴったりくると感じています)。
(1)まず土台は、五感を使う身体活動で脳や身体を元気に【生理的欲求】→(2)メンバーが自分らしくいられる安心・安全な場所【安全欲求】→(3)仲間と一緒に楽しむ【社会的欲求】→(4)お互いの強みを認め高め合う【承認欲求】→なりたい自分になる【自己実現】
第3の三角形:「守・破・離」
千利休の名言です。「守」は師匠の教えに従い、流儀、基本を守る段階。「破」は流儀を極めたあと、工夫して良いと思ったものを取り入れ、発展させる段階。「離」は流儀から離れ独自の新しいものを生み出し確立させる段階となります。つまり、基本を大切にすること、独創性は大事だけれども、順序を踏まないと思うような結果は得られないということですね。社交ダンスの基本には、骨盤を正しい位置に置くことをはじめ解剖学的に無駄のない動き方が示されています。基本を守り故障しない身体づくりをしながら、社交ダンスを楽しみたいと思います。
おすすめの料理

薬局/前田京二
小学生の時から料理が好きで色々作ったりしているのですが、結婚して、妻が料理をするのがあまり好きでないこともあり、私が夕食を作ることがほとんどです。この度、寄稿することになりましたので、私の料理のレパートリーの中で家族に高評価の料理を紹介したいと思います。
料理は、「本格スパイスカレー」です。玉ねぎをキツネ色になるまで炒めたり、面倒なことは食材を工夫して作るので簡単です。それと市販のカレールーに含まれている小麦粉を入れないレシピなので、さっぱりしています。私は、このスパイスカレーを食べたあとは、市販のレトルトやカレールーで作るカレーは、粘度が高く、塩分、脂分も多すぎて食べれなくなりました。
では、使用するスパイスの黄金バランスは、下記です(参照URL:https://funq.jp/buono/article/10023/)。クミンシード(4g)、クミンパウダー(4)、ターメリック(1)、カイエンペッパー(4)、コリアンダー(8)、ガラムマサラ(2)。なお、スパイスはメルカリで販売しているものを使用しています(メルカリ店舗:Mari Lanka)。クミンは、面倒ならパウダーだけを2倍量でもOK。カレー風味の基本となるものです。ターメリック(ウコン)は、色付けなどです。カイエンペッパーは、一味唐辛子でもよいです(辛さはお好みで)。コリアンダーは、パクチーの種子ですが、パクチーの葉っぱのような味はしないのでパクチーが苦手な方も問題ありません。ガラムマサラは、入れなくても、上記スパイスの香りが油に溶け込むので、問題ないです。
【準備する材料】
サラダ油、上記スパイス(上記比率4が大匙2)、生姜少々、ニンニク少々、肉500g 〜1Kg、玉ねぎ2〜3玉、カットトマト0.5 〜1缶、牛肉だしの素適量、水500cc
【作り方】
(1)鍋に、サラダ油、上記スパイス全量、ショウガとニンニクのすりおろしを入れて中火で炒め、いい香りがしてきたら適量の肉、玉ねぎを加え、軽く炒める(私は、玉ねぎは、業務スーパーのフライドオニオンを使用、生姜とニンニクは面倒なら入れない、又は、チューブ生姜、チューブにんにくを使用)。
(2)トマトと水と牛肉だしの素、ヨーグルトも加え、60分くらい煮込む(私は、業務スーパーの牛肉だしの素、カットトマト缶を使用、面倒ならヨーグルトは入れない)。
ぜひ、挑戦してみてください。