プラタナスの風(ブログ)

1階病棟/東田紅音

 私が絵を描き始めたきっかけは物心がついた頃なので、決定的なきっかけはあやふやですが、小学校1年の頃から絵を本格的に描き始めていたと思います。最初はお姫様が大好きでよくドレスを着ている女の子を描いていたのを覚えています。子供の頃からディズニーが好きだったので、その物語に出てくるお姫様を自分もあんなに可愛くかけたらいいなぁとずっと考えていました。

 風景画なども描くのは好きですが、どちらかというとオリジナルキャラクター・インコが好きなので小鳥の絵などを描いています。人物と風景を描くときは違いを感じていて、私は人物を描くときが一番難しいけれど、多彩な表現をすることができて楽しいと感じています。

 使用する道具は、白い紙とシャーペン、パソコンが主です。まず最初に紙にイラストを描いて下書きをしていきます。その絵をパソコンに取り入れて、SAIと呼ばれる絵描き用ソフトで線描き・色塗りを本格的に描いてきます。特に一番好きなのは、下書きから線描きをしていく時が一番楽しくて好きです。色塗りも嫌いではないですが、かなりの時間と長時間の集中力・根性がいるので大変です。

 落書き程度であれば10分~30分程度ですが、本格的に行っていくと一つの作品に5時間~6時間かかります。学生の頃は休日のときに完成するまで一気に描いていました。その日に仕上げた方が、絵を描くときの雰囲気・その時のモチベーションが保持したまま描けた方が良いからです。作業を次の日に伸ばしてしまうと、「あれ? 昨日の塗り方どんなのだっけ? ペンのサイズはこれで良かったっけ?」と寝てリセットしてしまうことがあります。出来上がる作品の雰囲気が変わるので、気に入るか気入らないかはある意味運に近いです。絵を描き終わった後は達成感がありますが、その後もミスがないか最終チェックもかかせませんので気が緩みません。

 好きな作家さんは、ヒョーゴノスケさん、ヤスガキさん、mineralさん等のイラストレータさんです。どれも個性あって素敵なイラストを描く方ばかりです。

 私にとって絵を描くことは趣味であり、その時の気持ちを表現する日記なようなものと思っています。また、仕草・表情・立ち位置等その人物が何を見て感じているかを、絵を見てくれる人にどれだけ伝えることができるのかが、楽しみでもあり絵を描く面白さだと思います。そして絵を描いていくことで、色んな人と交流ができ繋がりを持つことができました。特に一番驚いたのが、絵を描いてツイッターなどにあげたときに外国の方からコメントを頂いたときでした。日本だけでなくて世界共通で気持ちを共有できるのだと感動したのを今でも覚えています。これからも絵を描き続けていき、私なりのコミュニケーションで気持ちや感動を伝えていきたいです。

 これから何かにチャレンジしようと思っている方、ぜひ絵を描き始めてみませんか?


デイケア/水田容子

 1月往(い)ぬる、2月逃げる、3月去るとは良く言ったもので、今年早くも2月が経とうとしていますが、皆様お正月気分は抜けたでしょうか?

 今年2018 年の干支は戌(いぬ)年ですが、なぜ干支では<いぬ>を<戌>と書くかご存知でしょうか? そのわけは…、12の方角の11番目にあたるのが<戌>であるとのこと。それでは11番目の方角とは何か。昔の方角というのは古代中国から伝わったもので、方角は全部で12あり、昔中国では木星の運行によって方角を決めており、木星は約12年で天球を一周しますので、1年ごとに一つの方角を決め、それを12作ることによって、一周分の方角を決めたのが日本に伝わってきたというのです。方角の名前は干支に登場する動物の名前を12の方角に対して北から時計回りに順番に当てはめたものですが、もともと十二支には動物の意味はなく、庶民に干支を浸透させるように身近な動物が当てられたとのことです。ちなみに、干支の方角をざっくり東西南北に当てはめると、卯=東、酉=西、午=南、子=北で、戌の方角は大体西北西?北西の間くらいとのことです。そう来ると、干支は昔の時間表記にも関連してくるのですが、今回はこれまでにしておきましょう。

 他にも調べてみると、戌年生まれの性格として、愛情深く情熱的、ピュアでシャイ、弱者を助けずにはいられないほど親切で、リーダーに向いているとのことです。戌年の皆さん、当てはまってますか??

 さて、私個人のことをお伝えすると、昨年12月から部署異動にて、就労に向けたデイケアで勤務をしております。ここで少し宣伝ですが、当部署は就労を目指したいと希望している20~30代の方に対し、再発防止や不調時の対処技能の獲得に向けたプログラム、就労に向けた実践的なプログラムなど、就労するためのお手伝いをしています。新しく立ち上げた部署でもあり、まだまだ浸透しておりませんが、興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせください。それはそうと、これまでの病棟勤務では年末年始関係なく仕事をしていたのですが、異動となったことで、今年は初めてまとまった連休となりました。普段やらない家の大掃除をして腰を痛めたり、親戚に挨拶まわりをしたりと久々にお正月らしい連休でした。何より子供たちにとっては、日替わりで公園や凧揚げ、海での貝殻集めなどをして充実した年末年始になったのではないでしょうか。今年、保育園年長さんになる長男は、「もうちょっとでお正月になる?」と早くも楽しみにしております(笑)。

 <逃げる>2月。2月3日の節分は家族で南南東を向いて恵方巻を頬張ったあとは、毎年恒例ですが、主人に鬼に扮装してもらい子供と豆まきをしました。「今年は例年より寒い!」と、毎年のように聞きますが、こうやって行事をこなしながら、暖かな春を待ちわびています。<去る>3月も間もなくですが、1日1日をゆったりと大切にして過ごしていきたいものです。


2階病棟/石本好美

 今年は紅葉がとてもきれいですね。そんな紅葉のシーズンも終わると寒さが一段と厳しくなります。私は身体を整えるひとつの方法として、マクロビオティックという食事法を生活に取り入れています。マクロビオテックとは、古代ギリシャの言葉で“自然に即した命の在り方”を意味するマクロビオスに由来しています。基本は玄米菜食で日本の伝統的な食事法が元になっていますが、健康食としてアメリカでブームになり日本に伝わってきた食事法です。

 この食事法の基本的な考え方は、「陰と陽」「身土不二」「一物全体」という三つの視点があります。まず「陰と陽」ですが、食べ物には陰と陽、中庸の性質があり、陰は夏野菜や白砂糖など身体を冷やすとされる食べ物で、陽は根菜類など冬に収穫できる野菜や身体を温める食べ物、中庸は陰陽の中間でバランスの良い状態です。冬は寒いので根菜類を蒸したり煮炊きすることで身体を温めるよう調理します。二つ目は「身土不二」で、身=体、土=環境、身体と環境は繋がっており健康に暮らしていくには、その土地のその季節にあった食べ物が大切だという意味です。最後に三つ目は「一物全体」で、自然の恵みを残さず丸ごといただくという意味です。

 このような考え方を大事にして、普段捨ててしまうような野菜の皮やアクも有効に活用して料理をします。というと何やら難しく聞こえるかもしれませんが、基本は玄米と、地元で収穫できる旬の野菜を使った主菜やお味噌汁、納豆や漬物などの発酵食品を取り入れることが私の理想的な食事です。

 しかし、良いものばかり追及していくと、これはダメ、あれはダメと悪いものを排除する傾向になりがちです。いくら身体に良い食べ物でも食べ過ぎるとやはり身体に悪くなるのでバランスも大切です。トマトは夏野菜なので身体を冷やす食べ物ですが、ビタミンや栄養成分があるように良い面も悪い面もあるので、私は全て良いとこ取りをすることにしています。悪いから排除したり切り捨てたりするのではなく、良い面を評価して感謝することが大切だと思います。良い悪いではなく、存在するものは全てに意味があると思います。

 そしてそれは人や物事にも当てはまるような気がします。人にもそれぞれに良い面や苦手なことがあり、その人が一番ワクワクして楽しいことは、その人らしさであり、とても大切な良い面だと思います。私は小さい頃から植物や自然が大好きです。きっかけは枯れている植物に水遣りをしたら芽が出てきたことでした。バラやアジサイを切花から挿し木にして育てたり、多肉植物やハーブの寄せ植えをラッピングして友人にプレゼントしたり、お花屋さんにもよく通っていました。その植物好きは観賞にとどまらず、今は畑を借りて自然栽培に挑戦したり、仲間で棚田を借りて無農薬のお米を作ったり、野草や和ハーブを学び料理会などのイベントに参加したりしています。その土地その季節の自然に触れることで命の大切さをより感じるようになりました。何となく毎日忙しく過ぎていきますが、「自然に即した命の在り方」を毎日の暮らしの中に取り入れ、自然の恵みをゆっくりと味わっています。


医局/土居大介

 時間は誰にとっても平等に過ぎます。1秒、1分、1年は365 日、誰にとっても同じです。しかしその時間の過ごし方は、個人に委ねられています。そして、限られています。その限られた時間をどう過ごすのか、なかなか難しいですね。常に何か行動する、何かを考える、など活動していれば時間を“有効”に使っている言える? 睡眠の時間、ぼーっとして何もしない時間は時間を“無駄”にしている? そうとも限りません。無駄だ、足踏みをしている、と思うような時間でも意味はあるんじゃないか、日常の何気ない時間の過ごし方にも意味はあるんじゃないか、と思います。

 僕は「時間を無駄にした」と考えることは好きではないし、無駄に思える時間にも意味はあるとポジティブに考えるようにしています。ラグビーの五郎丸選手が脚光を浴びた頃、“ルーチン”という言葉が流行りましたね。直訳すると“きまりきった手順”とか“一連の動作”という意味です。“精神統一の儀式”という意味もあるそうです。つまり、決まった動作を通して平常心、集中力を高めるということのようです。

 イチローがバッターボックスに立つ時にバットを回す、あの動作もルーチンです。僕は大リーグの舞台で、ここぞの集中力を発揮するわけではありませんが、ルーチンがあれば、毎日を気持ちをリセットして平常心で迎えられるでしょうか。そんなことを考えてみたら、ありました、僕のルーチン。それはコーヒーです。僕は必ず、毎朝コーヒーを淹れます。冷蔵庫から豆を取り出し、一人分を計量。豆をミルで挽いている間にお湯を沸かします。紙製のフィルターに挽いた豆を移し、お湯を優しく500 円玉を描くように回しかけると、ふわっと部屋に広がるコーヒーの香り。まさに至福の時間です。その時間はたった5分。しかし、このたった5分が心に余裕を生み、リラックスさせます。

 ちなみに日本にコーヒーが伝わったのは江戸時代、オランダ人からと言われています。明治時代になると喫茶店ができ、大衆にも広まるようになったそうです。僕らは夏になるとアイスコーヒーを好んで飲みますが、実は日本発祥。海外にはコーヒーを冷やして飲むという習慣なかったそうですよ。話は逸れましたが、日常のなんでもない時間にも意味はあります。皆さんには“ルーチン”ありますか?



4階病棟/松森美和

 我が家は、今年44歳になる夫ともう少しだけ若い私、それに3匹の猫で構成しています。元々猫は2匹でしたが、忘れもしない、一昨年の7月7日、3匹目の猫がやってきました。七夕なのに、土砂降りで、にもかかわらず友人と飲みに出ていた私の元に、夫から連絡がありました。何かと思えば、ずぶ濡れの子猫を手のひらに乗せた、やっぱりずぶ濡れの夫が写真を送ってきたのです。「どうしよう。死にそう」困った様子で、要するに夫は「見捨てられないので3匹目を飼いたい」という趣旨の話がしたかったようです。確かに、土砂降りのなか、元あったところに返してしまえば、簡単になくなってしまうような、か弱い、心細い様子に見えました。片方の手のひらの上におさまるサイズの小さな命は、一生懸命声をあげて生きようとしていました。こうして、我が家の一員に末っ子が加わりました。

 子猫はオスで、まだ十分に目も見えていない様子でした。元々我が家に暮らしていた先輩猫は、2匹ともノルウェージャン・フォレストキャット(意味はノルウェーの森の妖精、だそうです)という種類の猫で、かなり大きく育つ種です。体重が7~9kgもあり、中型犬程の大きさがあります。この子達にかかってしまえば、小さな末っ子はひとたまりもないと思われました。また、外からやってきた末っ子は、屋外に一歩も出たことのない2匹に病気やノミを移す可能性もあり、当初は隔離が必要でした。専用の檻の中にお母さん代わりの毛布と一緒におさまってもらうことにしました。

 あっという間に大きくなって、彼が我が家の一員になってから半年が経過したころ、去勢の手術を受け、ノミの駆除も終了しました。お互い他害のおそれがなくなったので、檻の外の世界に慣れてもらうために、少しずつ隔離の時間を短くしていきました。檻の外の世界は刺激がいっぱいです。好奇心旺盛な子猫が毎日家の中でやんちゃをし、その度に隔離される、ということを繰り返しながら、行動範囲を広げていきました。今では、我が家の主のように、家中を堂々と闊歩しています。すっかり我が家のムードメーカーになった末っ子は、いわゆる雑種です。先輩猫達とは全く異なる風貌ですが、大きい種の中で育ったからか、若干同じ年頃の猫より大きめです。このままどこまで成長するか楽しみです。

 今年ももう7月になりました。この季節が来ると、あの土砂降りの七夕に、ずぶ濡れで途方にくれていた子猫と夫を思い出します。これ以上は飼えないので、もうずぶ濡れの子猫を発見しないで欲しいと願ってやみません。



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