2階病棟/石本好美

 今年は紅葉がとてもきれいですね。そんな紅葉のシーズンも終わると寒さが一段と厳しくなります。私は身体を整えるひとつの方法として、マクロビオティックという食事法を生活に取り入れています。マクロビオテックとは、古代ギリシャの言葉で“自然に即した命の在り方”を意味するマクロビオスに由来しています。基本は玄米菜食で日本の伝統的な食事法が元になっていますが、健康食としてアメリカでブームになり日本に伝わってきた食事法です。

 この食事法の基本的な考え方は、「陰と陽」「身土不二」「一物全体」という三つの視点があります。まず「陰と陽」ですが、食べ物には陰と陽、中庸の性質があり、陰は夏野菜や白砂糖など身体を冷やすとされる食べ物で、陽は根菜類など冬に収穫できる野菜や身体を温める食べ物、中庸は陰陽の中間でバランスの良い状態です。冬は寒いので根菜類を蒸したり煮炊きすることで身体を温めるよう調理します。二つ目は「身土不二」で、身=体、土=環境、身体と環境は繋がっており健康に暮らしていくには、その土地のその季節にあった食べ物が大切だという意味です。最後に三つ目は「一物全体」で、自然の恵みを残さず丸ごといただくという意味です。

 このような考え方を大事にして、普段捨ててしまうような野菜の皮やアクも有効に活用して料理をします。というと何やら難しく聞こえるかもしれませんが、基本は玄米と、地元で収穫できる旬の野菜を使った主菜やお味噌汁、納豆や漬物などの発酵食品を取り入れることが私の理想的な食事です。

 しかし、良いものばかり追及していくと、これはダメ、あれはダメと悪いものを排除する傾向になりがちです。いくら身体に良い食べ物でも食べ過ぎるとやはり身体に悪くなるのでバランスも大切です。トマトは夏野菜なので身体を冷やす食べ物ですが、ビタミンや栄養成分があるように良い面も悪い面もあるので、私は全て良いとこ取りをすることにしています。悪いから排除したり切り捨てたりするのではなく、良い面を評価して感謝することが大切だと思います。良い悪いではなく、存在するものは全てに意味があると思います。

 そしてそれは人や物事にも当てはまるような気がします。人にもそれぞれに良い面や苦手なことがあり、その人が一番ワクワクして楽しいことは、その人らしさであり、とても大切な良い面だと思います。私は小さい頃から植物や自然が大好きです。きっかけは枯れている植物に水遣りをしたら芽が出てきたことでした。バラやアジサイを切花から挿し木にして育てたり、多肉植物やハーブの寄せ植えをラッピングして友人にプレゼントしたり、お花屋さんにもよく通っていました。その植物好きは観賞にとどまらず、今は畑を借りて自然栽培に挑戦したり、仲間で棚田を借りて無農薬のお米を作ったり、野草や和ハーブを学び料理会などのイベントに参加したりしています。その土地その季節の自然に触れることで命の大切さをより感じるようになりました。何となく毎日忙しく過ぎていきますが、「自然に即した命の在り方」を毎日の暮らしの中に取り入れ、自然の恵みをゆっくりと味わっています。


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