4階病棟/入道陽子

 人生の折り返し地点を過ぎ、気が付けばアラフィフ。仕事に子育てにと突っ走ってきて、ふと立ち止まり、鏡を見る。そこには疲れた自分の姿。ヤバすぎるーー!!! 終わっている。二重顎で猫背でお腹はでっぷり。そんな自分にだいぶ前から気付いていたが、ずっと目をそらし続け、気付かぬふりをしていた。何とかしなければ…。でも何をすればいいのか…。ジョギング、ウォーキング、ジム、ヨガ。どれも続かないと頭で考えるだけで、始めることさえもしていなかった。

 そんな時、友だちからピラティスに行き始めたけど、一緒に行こうと誘われ、体験レッスンに行くことに。でもピラティスって何??

 ピラティスはドイツのジョセフ・H・ピラティスが戦争で負傷した兵士のリハビリのために開発したリハビリ運動。インナーマッスルや肩甲骨周りの筋肉に意識を向けての運動で正しい骨格を意識しながら、体幹の筋肉を整えていくエクササイズである。

 姉が2年前からピラティスにのめりこんでいたので、話は聞いていたが細かなことまで知らず、軽い気持ちでピラティスの世界に足を踏み入れてしまった。180cm×60cmのマット上で始まった45分間のレッスン。次から次に指示され体を動かしていく。自分の体なのに全く言うことを聞いてくれない重い老化した体。「あれ? 私、こんなにできなかったっけ?」途中から体のあらゆる部分が筋肉痛。20数年メンテナンスを怠った私の体が悲鳴をあげていた。終わった後、体は疲れ切っていたがこの楽しさはなんだろう。爽快感? 達成感? 何とも言えない気分になった。帰りに先生が「大丈夫ですよ。続けていくと誰でもできるようになります!」と笑顔で言ってくれたことで、単純な私の心に火が付いてしまった。

 ピラティスを始めたことで体の歪みや無意識についてしまった体の癖も分かってきた。自分の体は自分次第。今さらながらそんな当たり前のことに気付かされた。それにピラティスは骨格や筋肉の動きに集中して無心になるので、心を落ち着かせる効果もあり、ストレス発散にもなっている。心身ともにリフレッシュ。

 ピラティスは「10回で気分が良くなり、20回で見た目が変わり、30回で身体のすべてが変わる」と言われる。その言葉通り、気分は良くなった。さあ、次は見た目!! もう20回以上は行っているけどなぁ。そこはいつになることやら。


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