作業療法センター/中井智樹

 十代の頃、家族と出掛ける事がどこか気恥ずかしく感じられ、「誰が休みと時間を割いてまで家族と出掛けるか」などと友人たちに噛みつくように言っていた自分を思い出す。その頃の私は、家族よりも友人との時間が何より大切で、家の外で自分の居場所を作ることに一生懸命だった。けれど社会人になり、気付けばあれほど否定していたはずの「家族で出掛ける時間」を自分が率先して作るようになっていた。

 就職して四年、いつの間にか父や母、そして兄妹を誘い、食事会や、BBQ、川遊びを企画する中心に私がいる。十代の自分が知ったら、きっと目を丸くするだろう。その変化の理由を考えてみると、専門学校を卒業し、就職してから徐々に友人と過ごす時間が減っていったことが大きいのかもしれない。社会に出ればそれぞれの生活リズムが生まれ、以前の様に頻繁に集まるのは難しくなる。連絡をとる事さえ、少し気を遣ってしまう様になるのだ。関わりが少しずつ薄れていくのを覚えた時、ふと自分に残っている最も確かなつながりが「家族」なのだと無意識的に感じたのだと思う。

 さらに結婚という大きな節目を経験した事で、家族という存在の重さやあたたかさに、改めて気付かされた面もある。

 そして最近娘が生まれた。実家に顔を出すたび、両親が子どもの頃のエピソードを楽しそうに語ってくれる。そのたびに、私もまたこうして愛情を注がれ、育てられてきたのだと実感するようになった。

 娘を抱きながら両親の話を聞くと、家族の時間がどれほどかけがえないものか、胸の奥にじわりと広がっていく。十代の自分ならこれを素直に受け止めることは出来なかったかもしれない。

 だからこそ、これからは娘を連れて色んなところに出掛けて話をすることで、たくさんの思い出を刻んでいきたいと強く思う。

 きっとこれから観る映画も、これまでのアクション映画からジブリ映画やディズニー映画に変わっていくのだろう。休日も、バイクに跨る時間より娘を背中に乗せる時間の方が多くなっていくに違いない。そんな未来を思い浮かべるだけで、不思議と心があたたかくなる。

 これから先の人生で家族と関わる時間をもっと大切にしていきたい。そう素直に思い、表現出来るようになった自分の変化を、どこか誇らしく感じている。


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