医事課/綾 智子

 私が瀬戸内しまなみ海道の橋を、ほんの少しの距離ですが、初めて自転車で走ったのは20年位前になります。広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」の愛称で親しまれている「西瀬戸内自転車道」が完成したのは、1999年5月1日。原動機付自転車及び自転車・歩行者専用の道路が整備されている橋としてかなり話題になっていました。

 当時、愛媛県松山市に住んでおり、友達と遊んでいる時でした。「しまなみ、自転車で走ってみたくない? 今から、行ってみん?」と友達が言いました。「行ってみたいけど、今治市までどうやって行くの?」と私が聞くと、「ここからずっと自転車」と友達がさらっと言いました。初めは驚きましたが、しまなみ海道を走ってみたい、自転車で松山市から今治市まで行けるなら行ってみたいなと私は思い、そして私達3人の思いが一致して、その日の午後1時頃に、通学用の自転車に乗り松山市を出発しました。

 松山市から今治市まで、国道196号線を走りました。左手に穏やかな瀬戸内海を眺めながら、時には休憩して、ひたすら自転車をこぎました。季節は真冬、日が暮れる時間が早く、少し暗くなってきており、私達は少し不安になっていました。かなり長い時間走ったけれど、橋が見えてきません。スマートフォンが無い時代でしたので、今いる場所がどこなのかインターネットで検索することもできません。道路標識だけを頼りに、ただただ自転車をこぎました。そして、「しまなみ海道」という標識が見えた瞬間に、「あと少しだ!」とみんなで叫んで、橋を目指しました。

 そして橋のもとにようやくたどり着き、自転車専用道路に入り橋までの坂を上りきりました。そうすると、目の前には今治市と大橋をつなぐ約4kmの大きな来島海峡大橋が見えました。時間があまりなかったため、少しの距離だけ走り、立ち止って橋の上から夕日を見ました。目の前には、いくつもの島があり、その間に潮流が見え、今までに見たことがないとてもきれいな景色でした。疲れたけど、とても楽しかったことを覚えています。ちなみに、帰りは心配した友達のご両親が迎えに来てくれて、車で帰りました。


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